どうなる?相続人なき遺産のゆくえ
故人が財産を生前に贈与しておらず、遺言も残していない。さらに相続する人もいない・・。こんな場合、遺産はどうなるのでしょうか。
原則、国のものになるが例外もある
相続人が存在しない場合には、その相続財産は国庫に帰属するのが原則です。しかし故人と一定の関係のある人(長年同居していた内縁の配偶者など)がいる場合、その人を素通りして、国庫に財産が移行するのは、被相続人の意思に反し、不合理な感じもします。
そこで、民法では次の2つの条件を満たした場合、相続財産の全部または一部を与えることを認めています。
- その1 相続人が存在しない
- その2 故人と特別の縁故があった者が申し立てをして家庭裁判所が認める
では、具体的に内容をみてみましょう。
その1 相続人が存在しないことを確定するための手続き
相続人が存在しないことを確定するためには、まず相続財産管理人を選び、その管理人に財産管理をしてもらいます。つぎに家庭裁判所を通じて相続人を捜します。6ヶ月たっても現れなかった場合、相続人がいないことが確定します。
その2 故人と特別の縁故があった者(特別縁故者)の条件
- 1.被相続人と生計を同じくしていた者
- 長年同居していた内縁の配偶者、事実上の養子あるいは養親、継親子、子の妻がこれにあたります。
- 2.被相続人の療養看護に努めた者
- 被相続人と生計を共にせずとも、被相続人の療養看護に努めた親族、隣人、知人等がこれに該当します。家政婦や看護師でも報酬以上の多大な献身があれば、これに該当する可能性があります。
- 3.そのほか被相続人と特別の縁故があった者
- 1,2のような密接な関係で、被相続人が遺言をのこしていればその者に与えていたであろうと考えられる者がこれに該当します。他人や法人でも認められます。
トップへ