競馬の当り馬券による所得を確定申告しなかったとして所得税法違反に問われた元会社員の男性に対する大阪地裁の裁判が、競馬ファンらの関心を集めておりJRA(日本中央競馬会)などには、課税のしくみについて問い合わせが相次いでいるということです。
賭博による所得は、宝くじ・サッカーくじ(toto)以外すべて課税の対象です。しかし、過去に賭博所得にまつわる課税が事件になったことはありませんでした。実質的に申告不要非課税だったのです。
最近は状況が変わってきました。電話やインターネットで馬券を買うことにより、購入履歴がはっきりと残るようになったからです。今後は課税申告の要不要を判定することが必須となるでしょう。
3月12日、第1回口頭弁論が大阪地裁で開かれました。外れ馬券を経費と認めずに課税処分したのは違法だとして、国に対して課税処分の取り消しを求めたのです。
大阪国税局が課税対象とした計34億円に対し、男性は、「はずれ馬券の購入費も総収入を得るための経費であり、所得計算上控除すべきもの」として、所得は計約1.5億円にとどまると主張しています。
賭博所得が一時所得となる根拠は、所得税の基本通達に「競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等」を一時所得とすると示されているからです。だからといって、儲けの7倍近い追徴になる課税処分は、担税力を課税の根拠とする所得税の趣旨から考えても異常です。必要経費を計上できる余地があってもよいのではないでしょうか。