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シリーズ 税金よもやま話

「飼い犬税」ってご存知?

知られざる”法定外目的税”

2012年6月、大阪府の泉佐野(いずみさの)市の市長が「飼い犬税」を検討していると市議会で明らかにして、波紋を呼びました。

背景 ~過去にも同様の税が

「飼い犬税」とは、犬の飼い主に課す税金のことです。その背景には、犬のふんを放置することによる被害が後を絶たないという実態があります。過去には2500以上の自治体で同様の「犬税」が課せられていました。※1

今回、泉佐野市が検討している「飼い犬税」は「法定外目的税」と呼ばれます。

法定外目的税ってなに?

地方税法で定められている税目※2以外の地方税を「法定外税」と呼び、その中でも目的税※3であるものを「法定外目的税」と言います。

前述の「飼い犬税」は、「街の環境美化に充てること」を目的としていることから法定外目的税になるわけです。

このように、地方自治体が税を新設する場合は、総務大臣と協議し同意を得なければなりません。総務大臣の同意を得るには、住民の負担がいちじるしく重くならない、地方間の物流に大きな障害とならない、国の方針と照らして適当であることが必要です。

法定外目的税にはこんなものも

山梨県の富士河口湖町には、釣り客に課す「遊漁税(ゆうぎょぜい)」があります。東京都にはホテルや旅館の客に課す「宿泊税」が、北九州市には埋め立て処分される産業廃棄物に課す「環境未来税」がそれぞれあります。ほかにも「産業廃棄物税」や「山砂利採取税」などがあり、その地域特有の問題の対策として設置されています。いっぽうで、山梨県では天然水を採取する業者に課す「ミネラルウォーター税」を検討していましたが、反発が強く実現していません。

さて「飼い犬税」導入の行方は・・

「飼い犬税」はまだ導入が決まったわけではありません。市は「問題が改善されない場合は、平成26年度にも導入する」と説明しています。裏を返せば、飼い主のモラルが向上すれば導入見送りも十分考えられるということです。

では現在の状況はどうかというと・・あまり改善されていないようです。市は、今夏にも条例に基づく罰金の徴収を検討しており、それでも改善されない場合は「飼い犬税」導入もやむを得ないとしています。※4

泉佐野市にかぎらず全国的な問題でもあります。はたして導入されるかどうか、注目です。

※1
1982年まで存在していた。ドイツなどでは今も存在する。
※2
地方税法で定められている税目‥
住民税や事業税、自動車税など。
※3
目的税‥
使い道があらかじめ決まっている税。(⇔普通税)
※4
産経新聞(2013年2月22日付)記事参照
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