会社法が施行されてから約7年が経ちます。合同会社という言葉を見聞きする機会がかなり増えてきました。トヨタ自動車や本田技研工業など9社が共同で合同会社を設立したことや、西友が2009年に株式会社から合同会社へ組織を変更したことなど、大手企業の動きも手伝ってここ数年で知名度がぐんと上がりました。
株式会社と合同会社は、契約や税制面の違いはありません。出資者全員の責任を有限責任とする点も共通です。その反面、ちがう点もいくつかあります。
その1
株式会社が出資者と経営機関が分かれているのに対し、合同会社は出資者が社員として経営に参加します。会社の所有者と経営者が一致するということです。これにより、株主総会や取締役会などの機関を通さず、出資者間で直接合意をすることができるので、より迅速に意思決定ができます。
その2
株式会社が出資比率に応じて利益を配当するのに対し、合同会社は出資比率に関係なく能力に応じて利益の配分を調節できます。たとえ出資額が少なくても、専門知識や技術があり、会社への貢献度が高い社員に対しては配当を大きくすることができます。
その3
小規模からスタートしたい企業や個人事業主にとっては、設立時の費用が株式会社の3分の1程度で済むことは大きな魅力となります。
合同会社の意思決定は、原則として出資した人たちの過半数の同意が必要です。社員が複数いる場合、意見の対立で収拾がつかなくなる恐れもあるので、「2/3以上の多数決で決定」のような取り決めを定款に記載しておくことも必要になるでしょう。会社経営の実態に合わせて、柔軟なルールづくりが必要な会社形態と言えます。