先日、中小企業庁のホームページに「中小企業実態基本調査」が掲載されました。それによると中小企業の総資産に締める棚卸資産の割合は、ここ数年変化がないことがわかりました。
全産業 | 建設 | 製造 | 情報通信 | 運輸 |
---|---|---|---|---|
8.4% | 8.9% | 10.3% | 4.1% | 0.7% |
卸売 | 小売 | 不動産リース | 宿泊飲食 | その他サービス |
10.0% | 13.2% | 9.8% | 1.2% | 1.7% |
(中小企業実態基本調査 平24確報)
同調査の中分類の業種区分(92業種)による高比率TOP5は次の通りです。
特に不動産取引業は、流動資産に占める棚卸資産の割合も58.6%を示し、キャッシュフローの重要課題となっています。在庫の時価変動インパクトが非常に大きいのも特徴です。
また、衣料品関係は、小売・卸売とも他業種に比べて高水準となっています。こちらの業種も季節変動や陳腐化など不良在庫リスクを抱えやすい業種です。
棚卸資産の管理体制の構築は一朝一夕にできるものではありません。金融機関は、融資の際決算書に不良在庫や架空在庫がないか必ずチェックします。これらは外部からでは実態が分からないので、上記のBS構成比率や回転率(回転日数)の同業他社との比較が行われます。異常値があれば、その原因を探ったり、在庫管理手法の実情を尋ねたり、商品の市場性についてチェックしたりします。中小企業では厳密な在庫管理が難しい面もあります。いっぽうで「在庫数値」の説明能力は、いつの時代の経営者にも求められています。