交際費等の損金不算入制度における中小法人に係る損金算入の特例について、定額控除限度額が600万円から800万円に引き上げられるとともに、定額控除限度額までの金額の10%の損金不算入措置が撤廃されました。この改正は、平成25年4月1日以後開始する事業年度分の法人税について適用されています。
交際費課税制度は昭和29年度の税制改正により導入されました。当時は、朝鮮特需により重要産業や基幹産業の設備投資に支えられた内需拡大で好況を続けており、湯水のように交際費が使われたこともありました。そこで、節約と資本蓄積の促進を趣旨として法律が制定されたのです。資本金500万円以上の企業で、過去年度の7割を基準にそれの超過額の50%を損金不算入とされました。
改正年度 | 内容 |
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昭和31年度 | 損金不算入割合:50%→100% 資本金:500万円→1000万円 |
昭和36年度 | 損金不算入割合:定額控除300万円を超える額の20% 資本金:全廃(全法人が対象に) |
昭和42年度 | 損金不算入割合:前期交際費の105%を超える額 |
昭和57年度 | 損金不算入割合:資本金1000万円以下→定額控除400万円を超える額 資本金5000万円以下→定額控除300万円を超える額 資本金5000万円超→すべて損金不算入 |
平成6年度 | 損金不算入割合:資本金5000万円以下→定額控除300万円の10% |
平成10年度 | 損金不算入割合:資本金5000万円以下→定額控除300万円の20% |
平成14年度 | 損金不算入割合:資本金5000万円以下→定額控除400万円に統一 |
平成15年度 | 損金不算入割合:資本金1億円以下→定額控除400万円の10% |
平成18年度 | 一人あたり5000円以下の飲食費が交際費から除外 |
平成22年度 | 資本金5億円以上の法人の完全支配関係法人の定額控除適用が排除 |
今年の税制改正の交際費10%課税撤廃で、交際費の額が年間800万円に遥かに満たない中小法人では、交際費か交際費以外かの科目判定は意味を持たないことになりました。こういう法人にとっては、交際費課税の事実上の廃止とも言えます。