4月1日以後でも税率5%が継続適用される取引に要注意|税のいまを知りたい人のためのウェブマガジン[マンデー通信]|ふたば税理士法人

4月1日以後でも税率5%が
継続適用される取引に要注意

現行の消費税率5%が、平成26年4月1日(以下「施行日」)から「8%」に引き上げられますが、リース契約や賃貸料などの場合、施行日以降も旧税率5%が継続適用される取引があるので、注意しましょう。

平成26年3月以前からのリースは施行日以後も「5%」

 コピー機などをリースしている場合、そのほとんどがファイナンス・リース契約と思われますが、その場合、原則的には「売買取引」とされ、リース資産の引渡し時点の消費税率が適用されます。(図表1)
 例えば、平成26年1月15日に契約し同年2月1日にリース資産の引渡しを受けている場合、施行日以後に支払うリース料の消費税率は5%で処理することになります。
 なお特例で認められている、支払の都度、リース料を費用計上する場合もリース資産の引渡し時点の税率が適用されます。念のため自社のリース契約の内容について、リース会社に確認しましょう。

注意点
オペレーティング・リース契約(残価査定額がリース料から差し引かれているなど、ファイナンス・リース以外のリース取引)は、資産の貸付とされます。この契約では、平成25年9月30日までに契約締結するなど一定の要件を満たすものに限り旧税率5%が適用されます。

ファイナンス・リース契約で平成26年1月15日に契約し2月1日に資産の引渡しを受けているケース
事務所や駐車場などの賃貸料で一定のものは施行日以後も「5%」

 不動産の賃貸料のうち、事業用として契約している事務所、工場、倉庫、駐車場などの賃貸料には消費税がかかります(居住用として契約したアパート、マンションの賃貸料には消費税はかかりません)。
 不動産の賃貸料について、平成25年9月30日までに契約し、同26年3月31日までに賃貸を開始して施行日以後も引き続き賃貸を行っている場合、次のような要件のうちいくつかを満たしていれば、経過措置で施行日以後も旧税率5%が継続適用されます。(図表2)

【要件】
①賃貸の期間とその期間中の賃貸料の額が定められていること
②賃貸料の変更を求めることができる旨の定めがないこと
③契約期間中「いつでも解約の申入れ」ができる旨の定めがないことなど

※現実には、「家賃の改定協議可能」を旨とする文言が契約書に記載されているケースが多く、その場合は、上記の要件を満たさず、施行日以後は新税率8%が適用されることになります。

注意点
●この経過措置の適用にあたっては、契約の相手方に対して、「この取引は経過措置により旧税率の適用を受けた」旨を書面(契約書、請求書等)で通知することが義務づけられます。
●不動産の賃貸料は、翌月の家賃を前月末に支払う「前家賃」の契約になっていることが多いようです。この場合、例えば平成26年4月分の家賃を3月末に支払うことになるので、4月分であっても消費税率は5%になります。そして、4月末に支払う5月分から8%になります。

平成25年9月25日に駐車場の賃貸借契約を締結し11月1日から賃貸を開始したケース(経過措置適用)
請負契約で平成25年9月30日以前に契約したものは
施行日以後の引渡しでも「5%」

 商品等の販売と同様、請負契約においても引渡しが施行日以後になった場合は、原則として、新税率8%が適用されます。その場合、施行日前に支払った着手金や中間金も含めた請負金額の全額に8%が適用されることになります。
 ただし経過措置により、特定の取引については、平成25年9月30日までに請負契約を結んだ場合、引渡しが施行日以後であっても旧税率5%が継続適用されます。

【対象となる特定の取引】
●工事の請負に係る契約
●製造の請負に係る契約
●一定の要件を満たす測量、設計及びソフトウエア開発などに係る契約

注意点
この経過措置の適用にあたっては、契約の相手方に対して、「この取引は経過措置により旧税率の適用を受けた」旨を書面(契約書、請求書等)で通知することが義務づけられます。

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