増加する消費税の納税資金をどうする?後編
今年4月1日以後に消費税率が8%にアップすることに伴い、企業の消費税額が増加することが予測されます。どのくらい税額が増えるのかチェックし、必要な納税資金を確保するようにしましょう。
消費税を滞納するとどうなるか
中小企業の場合、預かった消費税を運転資金として使ってしまっているケースが多く見受けられます。
また消費税は、預かっている税金なので、赤字であっても納付しなければなりません。もし滞納することになれば、延滞税など企業 経営への影響が懸念されます。(図表1)
図表1 税金の滞納による影響
- (1)税金を納められないと延滞税が課せられ、延滞税分の資金がさらに必要になる。
※延滞税は、原則として納期眼の翌日から2か月を経過する日までは「年7.3%」か「前年の11月30日に
おいて日本銀行が定める基準割引率+4%」のいずれか低い方となります。ちなみに平成22年1月1日から同25年12月31日までは「年4.3%」でした。2か月を経過した日以後だと原則として「年14.6%」となります。
- (2)税金を納めていないと納税証明書が出ないため金融機関からの借入が困難になる。
- (3)事業資産への差押え処分により、経営に大きなダメージが出るおそれがある。
- (4)取引先などからの信用を失うおそれがある。など
納税資金を確保するには?
消費税をきちんと納税するには、納税資金を確保しておかなければなりません。
納税資金の確保策としては、消費税用の預金口座を作ったり、納税時期を分散したりする方法が考えられますので検討しましょう。(図表2)
図表2 納税資金の確保策
- (1)納税準備用の預金口座を作る
消費税の納税準備用の預金口座を作り、未払消費税分の資金をその口座に預け入れるようにします。
- (2)納税時期を分散させる
直前の課税期間の確定消費税額が60万円以下(地方消費税を含む)の中間申告の義務がない事業者は、届け出をすれば中間申告(半期)により納税することができます。年2回の納税になるので1回の納付税額が小さなり納付しやすくなるとともに運転資金への流用がしにくくなります。ただし中間申告の納税義務が発生しますので、納められない場合は上述の影響が生じるため注意が必要です。
- (3)毎月、未払消費税を把握できるようにする
例えば税込経理している場合は税抜経理に変更し、毎月、未払消費税の金額を把握して必要な納税資金を早めに把握し対策を講じます。
- (4)消費税増税分を折り込んで資金計画を立てる
あらかじめ増税による納税予定額を折り込んで、資金繰り表等を作成するようにします。
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