シリーズ 会計力をつけよう
(株)田端照明器具の田端社長は、会計事務所の所長から、貸借対照表の3期比較をもとに、売掛金の回収の問題点を指摘されました。
(財務データを見ながら)売上は順調ですが、売掛金の回収が遅れているようですね。回収条件が守られていない取引先はありませんか。
どうして、わかるのですか…。
最近、大口取引先の支払いが延びたり、付き合いの長い得意先の売掛金の回収が滞りがちで困っているんです。
売上債権回転期間が年々悪くなっていますね。
売上債権回転期間というのは、何ですか…。
商品の販売から代金回収までにかかった日数のことです。(図表1)その日数が、前々期は642日だったのに、前期が73.6日、今期が85.0日ですから、2年で約21日も延びていますね。(図表2)
それはどういうことを意味しているのですか。
つまり、21日分の売上に相当する資金が回収できていないということを意味するんですよ。
売上債権回転期間が長期化していると、銀行の融資審査の際、売上債権の不良債権化や売上の水増しが疑われますから注意しましょう。
同業種の売上債権回転期間はどのくらいでしょうか。
最新の「TKC経営指標(BAST)」を見てみましょう。これは黒字企業の場合ですが、電気照明器具製造業の売 上債権回転期間は平均で60.4日ですね。
2年前(前々期64.2日)のわが社の数字より短いですね。
現在の85.0日から黒字企業平均の60.4日まで短縮することを目標に改善計画を立ててみてはいかがですか。
仮に、翌期、翌々期の売上目標を今期と同じ5億8,000万円とすると、1年目(翌期)の売上債権残高を1億1,200万円にすることができれば、回転期間は70.5日になります。
2年目(翌々期)は売上債権残高を9,600万円にできれば、回転期間は60.4日になります。(図表3)
2年前まで64.2日だったのですから、頑張ってみます。私が回収の先頭に立って全社一丸でやりますよ。
短期的には改善できないかもしれませんが、一緒に頑張りましょう。