シリーズ 物語で高める財務経営力
子供服製造卸(株)ミサキの美咲社長は、資金繰り改善に取り組み始めました。しかし、来月もまた資金不足になりそうな見通しです。
先月、回収・支払サイトを見直すようにと助言していただき、早速、売掛金の回収サイトを1か月短くしました。
ところが、資金繰り表を見ると、来月も苦しくなりそうです。
何が原因でしょうか。
売掛金の回収サイトを早めたことで、資金繰りが少し改善されましたが、他にも原因がありそうですね。
試算表を見てみましょう……。
在庫(たな卸資産)がだいぶ増えていますね。どうしてですか。
夏物の売れ行きが予想以上に好調でしたので、例年よりも生産数量を増やしたからだと思います。
在庫は、製品として販売し、売上代金として回収することで資金になります。在庫が多いということは、その分資金が少なくなるということを意味するのですよ。
なるほど、それで資金繰りが苦しくなったのですね。
在庫を、早めに資金化できれば、資金繰りの改善につながりますよ。
在庫の中に、売れ筋でない物はありませんか。
不人気な色やデザインの商品が、かなりあると思います。
売れ筋でない商品をそのままにしておいても、商品価値が下がって、ますます売れなくなりますよ。
大幅な値引きやセールなどで、思い切って売ってしまうことはできませんか。
得意先のデパートやスーパーに、バーゲン用商品として大幅に値下げして販売できないか交渉してみます。
それと、以前からメーカー直販の在庫一掃セールを考えていたので、得意先に相談してみます。
過剰在庫や不良在庫を減らすように注意を払ってくださいね。
わかりました。資金繰りを改善するには、早く在庫を資金化することが重要なのですね。
過剰在庫や不良在庫が経営に与える影響は、主につぎのようなものです。
など