平成25年度税制改正によって相続税の基礎控除額が引き下げられ、新たに相続税を負担する人が増えるといわれています。
Q
平成25年度税制改正で、相続税の基礎控除額が4割引き下げられ、相続税がかかる人が増えるそうですが、どうしてですか。
A
基本的に相続税は、相続財産から基礎控除額を差し引いた金額に税率を掛けて計算します。(注1)
そのため、相続財産が基礎控除額を超えると、超えた金額に相続税がかかることになり、反対に、基礎控除額以下であれば相続税はかからないということになります。
基礎控除額の引き下げによって、課税のボーダーラインが下がることから、相続税を負担する人が増えるといわれています。基礎控除額の計算方法は、改正前と改正後では次のようになります。(図表1)
(注1) 実際の計算では、相続財産から非課税額や債務を控除し、さらにその残額(これを課税価格という)から基礎控除額を差し引いた金額に税率を掛けて計算します。
※平成27年1月1日以後の相続から適用されます。
Q
例えば、両親と子ども2人の4人家族の場合で、父親が亡くなり、相続財産(課税される財産)6,000万円を妻と子ども2人が相続するケースでは、どうなるでしょうか。
A
改正前は、基礎控除額(8,000万円)が相続財産を上回るため相続税はかかりません。
しかし、改正後は基礎控除額(4,800万円)が相続財産を下回るため、超えた1,200万円に相続税がかかります。(図表2)
改正によって、相続税の対象となる人の割合(課税割合)は、亡くなられた人の総数の4%程度(全国平均)から6%程度にまで増えるとされています。
しかし、改正後も相続税のかからない人が大多数を占めることに変わりはありません。ただし、もともと課税割合が全国平均よりも高い東京・名古屋・大阪などの大都市圏に不動産を持っている人は、新たに相続税の対象になる可能性があります。(注3)
(注3) 国税庁「平成23年の相続税の申告状況」によれば、相続税の課税割合は4.1%(全国平均)ですが、国税局別に見ると、東京(6.9%)、名古屋(5.9%)、大阪(4.5%)は、全国平均より高くなっています。