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相続税法における国籍ルール改正|税のいまを知りたい人のためのウェブマガジン[マンデー通信]|ふたば税理士法人

相続税法における国籍ルール改正

今年(平成25年)、相続税・贈与税に関する国籍ルールの二度目の改正がありました。

一度目の国籍ルール改正

日本の非居住者が相続贈与により国外財産を取得した場合は、日本で課税できないことになっていたころ、子を贈与税の受贈者課税のない外国に転居させ、日本非居住者にして、国外に移した財産を非課税で贈与する、という手法が富裕層の間で流行しました。

極めつきが平成11年の武富士株式1600億円の無税贈与でした。この武富士事件発生年の翌年に、一度目の国籍ルール改正として、相続贈与前5年以内に相続人・被相続人・贈与者・受贈者の何れかの者が日本国内に住所を有していたならば、日本国籍者については、取得した全財産につき相続税や贈与税の納税義務を課すとしました。

二度目の国籍ルール改正

二度目の改正の内容は、相続贈与による財産取得者がたとえ非日本国籍者で日本非居住者だったとしても、被相続人・贈与者が日本国居住者だったら、取得した全財産につき相続税・贈与税の納税義務を課すとしました。

この改正の動機も、日本国籍を持たないことによる贈与税回避の事例が生じたことに拠ります。

動機の事例は渡米出産米国籍取得

親は渡米して出産し、子は在米出産として米国籍を取得し、在米中の生後約8か月の時(平成16年8月)に、祖父である日本の居住者から、アメリカ国債500万ドルが米国ニュージャージー州の信託財産として引き渡されたというもので、すでに、地裁で納税者勝訴(平成23年3月23日言渡)、高裁で納税者敗訴(平成25年4月3日言渡)を経て、現在は最高裁に上告中です。

高裁敗訴を予測しての税法改正なのに

税務署側は、贈与を受けた生後約8か月の乳児の生活の本拠は、現実に在米中の場所ではなく、養育している両親の生活の本拠地の日本と判定すべき、と主張しました。

地裁判決ではこの主張は受け容れられませんでしたが、高裁では受け容れられて、納税者逆転敗訴となりました。

国籍ルール改正タイミングが遅かったのは、改正後法律の遡及適用との議論を避けたかったからだとすると、国税側は高裁敗訴・納税者勝訴確定を予想していたのかもしれません。

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