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非上場会社の株式評価のポイント 前編

会社の株式というのは、設立した当初は「額面1,000円」とか「額面5万円」といった価格でも、時間の経過とともにその価値は変化するものです。会社の経営が良ければその価値は高くなり、悪ければ低くなります。上場株式ならその価値ははっきり株価として毎日現れますが、非上場株式の場合はわかりません。今回は非上場株式の評価方法についてみてみましょう。

評価の方法は3つあります

市場価値の存在しない非上場株式は、将来稼ぐと予想される利益やキャッシュの額から評価する方法もありますが、ここでは税務上の評価方法をみてみましょう。その評価方法には3種類あります。

1)純資産価額方式

会社の純資産を株価総額とみなして株価を算定する方法です。ちなみに純資産とは、貸借対照表の「資本の部」のことです。
たとえば、貸借対照表の「資産の部」が3億円、「負債の部」が2億円なら、純資産は差引き1億円です。発行されている株式数を20,000株とすると、1株の価格は、1億円÷20,000株=5,000円となります。ただ、決算書の数字をそのまま使わず、各資産や負債を時価に置き直す必要があります。

2)類似業種比準方式式

国税庁が定期的に発表する「業種別の株価」を用いて評価する方法です。この中から自社の業種に近いものを選んで株価を算定します。
たとえば自社がレストランを営んでいた場合、直近(平成27年2月)の「業種別の株価」の中から「食堂・レストラン(専門料理店を除く)」を選んで、株価672円という数字を得ます。ただし、この数字をそのまま使うことはできません。この数字は「1株あたりの配当が11.5円」「1株あたりの利益(損益計算書上の利益とは異なる)が74円」「純資産(貸借対照表上の純資産とは異なる)が394円」という条件のもとに使うことができます。「配当」「利益」「純資産」という3つの条件を自社のケースに換算し直してこの方式による株価を計算します。

3)配当還元方式

受け取っている配当金をベースに株価を計算する方法です。非上場会社の場合、配当していないケースが多いと思いますが、その場合は「額面50円あたり2円50銭の配当」とします。株価は配当の10倍とするので、25円、つまり額面の半額となります。前述の純資産価額方式や類似業種比準方式では、額面500円の株式が3,000円、4,000円の評価額になることも珍しくありませんが、配当還元方式は、一般的に低い評価額になります。

これら3つの方法の中からどれを選ぶことになるのかは、会社の規模など、複数の条件によって決まります。次回の後半では選ぶ基準について解説します。

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