ふたば便り|ふたば税理士法人

損益分岐点売上高について

利益が出るか出ないかの境界線となる売上高を損益分岐点売上高といいます。実際の売上高が損益分岐点を上回っていれば利益が出ますし、下回っていれば赤字で損失が出ていることになります。今回はこの損益分岐点のしくみについて、ある洋菓子店を例にみてみましょう。

洋菓子店Aではショートケーキ1個を300円で販売しています。このケーキ1個を作る原材料費は240円です。これを販売するのに人件費やその他経費として、1ヶ月に30,000円かかるとすると、利益を出すには最低いくらの売上が必要になるでしょうか。

限界利益から考える

240円で仕入れた原材料を元に300円で販売しているということは、1個売るたびに60円の儲けが発生します。
(式)300円―240円=60円
このように、売上高から変動費(売上の増減によって変動する費用:ここでは原材料費)を引いたものを限界利益といいます。計算式であらわすと、売上高―変動費=限界利益 です。この例では限界利益が60円ということになります。
このケーキを売るために30,000円の固定費(売上の増減によって変動しない費用)が必要なのですから、ケーキの売上による儲けによって最低でもこの30,000円を回収しなければ赤字になってしまいます。すなわち、利益を出すということは、最低限この固定費を回収することにほかなりません。

損益分岐点を求める

では固定費を回収するために最低何個のケーキを売ればいいのでしょうか。
これは単純に固定費を限界利益で割ればわかります。
(式)30,000円÷60円=500個
つまり、500個売ってようやく固定費が回収できるわけです。これが損益分岐点です。
洋菓子店Aが利益を出すには500個×300円=150,000円で、150,000円以上の売上が必要であることがわかりました。

1日あたりに売るべき目標数量もわかる

損益分岐点がわかったら、1日あたりどれくらい売ればいいのかもわかります。たとえば洋菓子店Aが1ヶ月に25日間営業する場合、500個÷25日=20個で、1日あたり20個売る必要があります。
ただ、これはあくまでも平均値なので、実際にはさまざまな要因(たとえば土日はよく売れるとか雨の日は売れないとかなど)を考慮した上で、販売計画をたてるようにします。

損益分岐点を知ることは安定経営の第一歩

上記の1日あたり20個という数字は、固定費を回収するための最低限の目標です。利益を出すためにはさらに上乗せした数字を目標とする計画を立てなければなりません。
そもそも固定費というのは商品を販売したり会社を維持したりするために必要不可欠な経費です。これが賄えないと会社の存続が危ぶまれます。したがって、固定費を回収するための売上高がいくらなのかという損益分岐点を正しく把握しておくことは、会社経営にとってとても大切なのです。

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