法人事業税は、企業が事業活動を行ううえで、地方自治体のさまざまな行政サービスを受けていることから、このコストを応分に負担すべきであるとの考え方にもとついて課税されるものです。したがって、本来は、黒字、赤字にかかわらず、法人事業税を公平に負担することが望ましいと考えられます。しかし、所得を標準とした課税のみが行われていたため、黒字企業だけが課税され、赤字企業には税の負担がないという不公平がありました。そこで、このような課税の不公平をなくし、薄く広く公平に徴収するため、平成16年度に、資本金1億円超の法人を対象に、所得以外の外形的な標準(企業規模や活動の大きさを示す付加価値額や資本金等の額)に対して課税する「外形標準課税」が導入されました。
現在、資本金1億円超の企業に実施されている「外形標準課税」の対象法人は、全体の税負担額の4分の3は所得を基準として課税され、残り4分の1については所得以外の外形(付加価値額と資本金等の額)を標準として課税されています(図表1)。この外形標準の税額は、給与総額や不動産賃借料などの金額をもとに計算した付加価値額に一定の税率を乗じて算出した付加価値割と資本金等の金額に一定の税率を乗じて算出した資本割の合計額になります。